鹿児島出身鹿児島在住の獣医師 浜崎菜央と鹿児島出身大阪在住の聴導犬ユーザー 安藤美紀が、なぜ鹿児島で補助犬普及活動をはじめたのか?
この二人が出会うまでには、たくさんのストーリーが隠れています。
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それぞれの過去の思い
二人の偶然の出会い
少しずつ形に
それは『言葉を話せるようにしてくれた恩師へお礼を言いたい』からはじまった
1969年鹿児島県いちき串木野市で生まれたが、まったく耳が聞こえない、言葉が話せないの判明し、言葉の訓練のために2歳のときに、鹿児島に引っ越す。
当時、障がい者への差別がひどかったが、そんな中、恩師から言葉が話せるように懸命に教えてもらった。
鹿児島聾学校の幼稚部と幼稚園と両立しながら通い、その後は小学校に通うことになったが、それからも恩師は心配し、家まで訪問してくれたこともあった。
「聞こえなくとも将来大人になったら誇れるような社会人になってほしい」
と恩師はいつもそんな気持ちで頑張っていて、そこまで思いやる熱心な先生はいないと、美紀の脳裏に残っていた。
大阪で聴覚障がい児の学ぶ場を設けるために、NPO法人 MAMIEを設立。
恩師の姿を追うように自分も生徒に指導するようになったこともあり、
また講演をするたびに、「講演ができるのも恩師のおかげ」と思っていたこともあって、
恩師に再会しお礼を言いたいとずっと探し続けていた。
とにかく仕事熱心な父を見て育った。いつか父の仕事のサポートをしたいという思いを胸に
1977年鹿児島県鹿児島市で生まれた。聾学校の先生である両親の元で育ったこともあり、教え子さんやご家族の方との遠足などのイベントに小さい頃から一緒に参加していた。
小さい頃にはわからなかったが、大人になり、父の仕事に対する熱心さに気がつく。
小さいころから動物好きで幼稚園のころから「獣医さんになる!」と決めていたので、
父のことを尊敬しサポートしたいと思っていたが、同じ職につくことはしなかった。
獣医学科に入学後しばらくして、父母から『聴導犬』の存在を教えてもらい、
「自分は父と異なる仕事につくけれど、聴導犬という存在が父と私を繋いでくれる存在なのかもしれない」
と思い、
いつか聴導犬に関わることをしたいと願っていた。
生まれ故郷である鹿児島に帰り、ル・オーナペットクリニックを開院。
開院からシニア犬サークルを作り、シニアの犬猫のために、飼い主ができることを提案し続けていた。
その中で、飼い主が家でもできるケアとして、ペットマッサージやメディカルアロマなどを取り入れ、シニア犬猫セミナーなども開催していた。
獣医師 浜崎菜央(鹿児島出身鹿児島在住)
聴導犬ユーザー 安藤美紀(鹿児島出身大阪在住)
情報を手掛かりに続けていた恩師探し・・・ついにヒットする
安藤美紀(鹿児島出身大阪在住)
恩師を探そうとインターネットで検索するも、なかなかヒットすることなく過ごす毎日。
そんな中、『恩師の娘さんが鹿児島で動物病院をはじめた』ということを耳にし、早速検索してみると・・・
それらしい動物病院がヒットした!
院長のプロフィールなどを見ていくと、恩師の情報と当てはまる内容もある。
「もしかしたら、この院長が恩師の娘さん?」
と勇気を振り絞ってメールをすることに。
『人間違いだったらすみません。
おそらく、お父様が私を育てて下さった恩師である浜崎先生と思われます。』
こんなふうに探してくれる教え子さんがいたんだ・・・
浜崎菜央(鹿児島出身鹿児島在住)
何気ない毎日を過ごしていたら、ある日、知らない人からのメール。
そこには、
『おそらく、お父様が私を育てて下さった恩師である浜崎先生と思われます。』
との文字が・・・
『鹿児島県聾学校の幼稚部からお世話になり、幼稚部から一般校に行きました』
とあり、
間違いなく父のことだと確信。
聴覚障害児に対し、発音・発声練習を繰り返し教え、きちんと話ができるように厳しくしていた父。
その厳しさの裏側には、『聞こえなくても、自分に誇りをもって生きてほしい』という思い・愛情があった。
ただ厳しいだけでなく、その裏側の思い・愛情を理解し、
大人になっても覚えていて、こんなふうに探してくれる教え子さんがいるんだ。
父の苦労が報われた!
そう思うと、自分のことのように嬉しくて、涙が溢れてきた。
それと同時に、父のことを今まで以上に尊敬した。
『うちの父で間違い無いと思います。』
この文字を書きながら、こんな父の娘であることを誇りに思った。
通常の動物病院での診察の他に、ペットのためにセミナーやイベント企画などをしていた浜崎。
イベント企画中に頭にずーっとあったのが、聴導犬のこと。
『聴導犬に対して何かできることはないか?と考えながら、まだ今も答えは出ていません。
でも、このタイミングで巡り会えたことは何か意味があるのかもしれないと思っています。』
とメールする。
最初はよそよそしかったものの、
一言二言交わした後は、なんだか昔からつながっていたような懐かしい気持ちになって、すっかり意気投合。
恩師=父の存在に対して、
サプライズで聴導犬の講演をしないか?
という案が挙がった。
恩師に対して
こんなふうに講演ができるほどに話せるように育ててくださったことに感謝している。
自分に誇りを持って生きる力をくださったことに感謝している。
父に対して
あなたが一生懸命一人一人に向き合ってきたこと
あなたが一生懸命教えてきた時間や努力
それは無駄じゃなかったし、素晴らしいことだった。
その思いをそれぞれ伝える場として、
聴導犬の講演を開催することにしたのだ。
それと同時に、
教え子と恩師の何十年ぶりの再会の場にしたのだ。
恩師=父という共通点しかない二人